「ほっとサロンいだ」では、コロナの影響を受けて活動のあり方を変えてきましたが、2024年6月リニューアルオープンすることになりました。
当院では、患者さん、特にがん患者さんとそのご家族が、診察室以外の場所で自由に語れる場所?「がんサロン」を月に2回実施してきました。
「がんサロン」は多くの方を集め、皆様に喜んで頂いていましたが、一方で「外来の時間帯と一致していないため、気軽に寄ることができない」「いつでも気軽に立ち寄れて、相談できるような場が欲しい」などの声が、皆様から寄せられていました。
また、これまでは院内各所にパンフレットや図書が散らばっており、情報を集めるのにも一苦労。「情報センター(図書室)」としての役割をもつ場所も求められてきました。
このような声を受けて、2013年1月、7階ラウンジに「病院の中にあり、病院の中ではない場所」「自分の生きる力を取り戻すための場所」「とりあえずここにくれば、探していたものが見つかる場所」として、「ほっとサロンいだ」が、開設されました。ここは図書館でもあり、美術館でもあり、もうひとつの自宅のようでもあります。
このラウンジにくれば、何となく落ち着く・・・欲しい情報がわかった・・・自分を見つめ直す機会がもてた・・・
など、ご利用になられる皆様それぞれに、サロンを楽しんで頂ければ幸いです。
「ほっとサロンいだ」の出発点はイギリスにある「マギーズ・キャンサー・ケアリングセンター」にあります。これは、乳がんで療養していたマギーさんの、こんな言葉から始まった施設でした。
「確かに病院ではいいケアをしてくれているし、臨床面、技術面ではしっかりと治療してくれる。しかし、私を支援してくれる家族や友達も、同時にいろいろな心配事や不安を抱えているのに、そのことに対するサポートが十分ではないと思う」
そして彼女は、「がん患者はとても弱い立場におかれている。しかも不安は非常に強くなっている。その中で支援や情報を求めるというのは、非常に大きなストレスになる。だから、そこに行けば自分たちの求めているものが全て手に入るような、そういうところを作りたい」と言ったのです。
『メディカルタウンの再生力』30年後の医療の姿を考える会編から
マギーズセンターの大きな特徴のひとつは、環境の力を重視している点です。マギーさんは「建築と環境が人間の心に深い影響を与える」と考え、精神面を刺激し回復させるような建物・空間を造ることもセンターの目的の1つにしていました。「ほっとサロンいだ」でも、そのコンセプトを取り入れ、広い眺望、心地よい音楽、癒される香り、どこか親しみの持てる調度品…などにこだわり、図書館でもあり、美術館でもあり、もうひとつの自宅のような空間を提供できるよう努力しています。
そして、サロンは私たちスタッフだけで作るものではありません。利用者の皆様とともに、お互いを癒す「環境」を作っていきたいと考えています。それが、また「つながり」になり、よりよい時間を過ごすことができる空間へとつながっていきます。
サロンでの主役は利用者の方々全てです。私たちは皆様がお過ごしになりたい形を、できる範囲でサポートさせて頂きます。
サロンでは、ゆったりとしたソファ、こころ癒す音楽、そして横浜方面を見渡す広い眺望をお楽しみ頂けます。
遠い景色を眺めながら、ほんのひとときでも病気や悩みから離れ、明日への「生きるちから」を育てる時間をもつ。
そんな時間のお手伝いができれば幸いです。
サロンでは、時間を区切り、患者さんやご家族をサポートする数々のプログラムを提供します。
例えば「がんサロン」。がんサロンでは、がん患者さんやがん経験者、そのご家族やご遺族、友人の方などが集まって、普段は中々話すことのできない、ご自身の体験談や悩み、相談したいことなどを話し合います。それを通じて「同じ事でみんな悩んでいるんだ」「自分はひとりじゃない」という安心感や、療養のヒントを得ることができます。
他にも、たくさんのプログラムをご用意して皆様をサポートできるよう努めて参ります。
療養に必要な様々な情報を集めた図書とパンフレットのコーナーを設置しております。
患者さん向けの図書も多数そろえておりますが、ここではあえて、医師が参考にするような医学書も扱っています。自分や家族の病気であれば、とにかくどんな専門的なものでも知りたいと思うこともあるもの。そのニーズに、サロンは応えます。
もちろん、「どの本を選べばよいかわからない」「どのパンフレットが私に合うの?」「内容が読んでもよくわからない」という場合は、お近くのスタッフに相談することもできます(ボランティアが在室している場合)。
あなたが知りたいこと、それを見つけるのも私たちの仕事です。