当院では患者様中心の診療体制を目指すため、医療側の垣根をとり臓器別疾患別にセンター化を構成しております。当センターでは消化器系の臓器、食道・胃・腸(小腸・大腸)・肝臓・胆嚢(たんのう)・膵臓(すいぞう)に関連した疾患を全般的に診療します。

診療体制

消化器内科・消化器外科・肝臓内科・外科・腫瘍内科・緩和ケア内科の専門医が中心となり、栄養師、薬剤師、理学療法師、言語聴覚士、臨床心理士、メディカルソーシャルワーカーとともに診療を行っております。

夜間でも、緊急手術・内視鏡処置が行える体制を整えています。

毎月、手術症例を他病院・診療所の先生方と共に、画像所見・手術所見・顕微鏡所見を見直し、透明性のある開かれた診療を目指しています。

消化器センター長 伊藤 大輔
消化器副センター長 有澤 淑人

対象疾患

消化器がん(食道がん・胃がん・大腸がん・肝がん・膵がん・胆嚢がん・胆管がん)、慢性肝疾患、炎症性腸疾患(IBD)等。

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専門外来(症状・疾患外来)

外来 担当 診察時間
胆石外来 藤村 知賢 毎週火曜日午後
大腸ポリープ外来 有澤 淑人 毎週月曜日午後
肝炎外来 高松 正視 毎週火曜日午前

当外科・消化器科で取り扱っている主な疾患

食道疾患 症状 つかえ感、胸やけ、吐血、せき、かすれ声など
可能性のある病名 食道がん、逆流性食道炎、食道・胃静脈瘤、食道アカラシアなど
検査法 内視鏡検査、X線造影検査、内圧検査、超音波内視鏡検査など
胃疾患 症状 みぞおちの痛み、腹部の膨満感、胸やけ、吐血、黒色便、嘔吐など
可能性のある病名 胃がん、胃炎、胃・十二指腸潰瘍、胃ポリープなど
検査法 内視鏡検査、X線造影検査、超音波検査、検便、CT検査など
大腸疾患 症状 腹痛、悪心(はきけ)・嘔吐、腹部膨満、排ガス・排便の停止、食欲不振、発熱、血便、黒色便、貧血、体重減少、腹部腫瘍、下痢と便秘の繰り返しなど
可能性のある病名 大腸がん、大腸ポリープ、腸閉塞、炎症性腸疾患、虫垂炎、大腸憩室炎など
検査法 検便、X線造影検査、内視鏡検査、CT検査、超音波検査など
肛門疾患 症状 排便時出血、疼痛、脱出、肛門周辺の発赤、腫脹、排膿など
可能性のある病名 痔、痔ろう、肛門周囲膿瘍、直腸脱、など
検査法 検便、直腸鏡検査、直腸指針、X線造影検査など
肝臓疾患 症状 肝臓機能障害、血清B型、C型肝炎ウィルス陽性(多くは無症状)、全身倦怠感、発熱、黄疸(眼や皮膚が黄色くなる)など
可能性のある病名 胆石・総肝管結石、胆嚢がん、胆管がんなど
検査法 血液検査、腹部超音波検査、CT検査、腹部血管造影など
胆道疾患 症状 右上腹部痛、悪心(はきけ)・嘔吐、発熱、黄疸(眼や皮膚が黄色くなる)など
可能性のある病名 胆石・総肝管結石、胆嚢がん、胆管がんなど
検査法 血液検査、腹部超音波検査、CT検査、内視鏡的胆道造影など
すい臓疾患 症状 上腹部痛、背部痛、悪心(はきけ)・嘔吐、食欲不振、黄疸(眼や皮膚が黄色くなる)など
可能性のある病名 急性膵炎、慢性膵炎、膵がんなど
検査法 血液検査、腹部超音波検査、CT検査、内視鏡的胆道造影、血液造影など

消化器がんの集学的治療

現在のがん治療は、手術・放射線治療・化学療法・緩和ケアの4つの治療法を柱としています。手術療法、放射線治療、抗がん剤治療などの専門領域の技術と知恵を集め、それぞれを単独で行うより、いくつかの治療法を組み合わせることで高い効果が期待できます。このようにして患者さんに最適な治療を行うのが「集学的がん治療」です。当センターでは専門領域の医療従事者が連携をとり、患者様にとって良い集学的治療を提供できるよう日々精進しています。残念ながら、積極的ながんの治療が難しくなった患者様についても、毎週木曜日に行われているセンターの症例検討会で緩和ケアの先生と相談し、より良い終末期医療について相談しています。

集学的治療の実際

  • 食道癌
    病期II期、III期の食道癌では術前の化学療法が術後成績を向上させることが知られており、当センターでも化学療法医と相談し、術前に化学療法を施行して手術にのぞんでいます。また、手術が難しい症例では、さらに放射線科医と連携をとり、化学・放射線療法を施行しています。治療により手術が可能になれば手術を施行しており、まさに集学的治療といえます。
  • 胃癌
    手術可能な胃癌の場合には手術を選択し、術後の最終診断で病期II期以上の場合には術後の補助化学療法を施行しています。経口の抗がん剤を一年間内服することを目指します。再発胃癌については再発部位によって使用する化学療法が異なることもあり、化学療法医と相談し、高度進行癌の場合には術前に化学療法を施行します。術前の治療によって手術による治療成績の向上を目指しています。
  • 大腸癌
    手術を施行したIII期以上の大腸癌に対して術後補助化学療法を施行しています。使用する抗がん剤は患者様の状態によって検討し、通院でも施行が可能です。狭窄を有する大腸癌では放射線科医と連携、狭窄部分にメタリックステントを留置して狭窄を解除し、待機的に手術を行っています。進行直腸癌に対して術前に化学・放射線療法を施行して、腫瘍の縮小を図り、肛門の機能を温存する術式を目指しています。