リウマチ性疾患の患者さんの笑顔のために

近年、関節リウマチ治療は劇的に変わりました。メソトレキサートや生物学的製剤などによる積極的な治療を行うことにより、痛みから解放され、関節破壊の進行を食い止めることが現実のものとなってきました。しかし、残念ながら関節変形による痛み、日常生活の不自由さがある患者さんについては、関節形成術・人工関節置換術が必要となります。

当センターでは4名の日本リウマチ学会専門医(内科4名)と4名の整形外科医が常勤し、毎日外来診療をしています。リウマチ内科医と整形外科医を同じ診療エリアで近傍の診察室に配置することによって、両者の密接な連携を図り患者さんに適時・適切な医療を提供します。

「リウマチ性疾患患者さんの笑顔のために」をモットーに、一人一人の患者さんにきめ細やかな診療を行っていきたいと考えています。

対象とする主なリウマチ性疾患

リウマチ性疾患とは関節、筋肉、腱、靱帯などの運動器に痛みやこわばりを起こす病気の総称です。

  • 関節リウマチ
  • 若年関節リウマチ
  • その他の膠原病
    1. 全身性エリテマトーデス
    2. 全身性強皮症
    3. 多発性筋炎
    4. 皮膚筋炎
    5. 混合性結合組織病(MCTD)
    6. 血管炎症候群
    7. リウマチ熱
  • 脊椎関節炎(SPA)
  • シェーグレン症候群
  • リウマチ性多発筋痛症
  • ベーチェット病
  • サルコイドーシス
  • 痛風・偽痛風
  • その他、身体のこわばり、関節痛、筋痛があり、リウマチや膠原病が心配な方

医療機関の方へ

  • 関節リウマチは関節を中心とした全身の炎症性疾患で、関節以外の病変も高頻度に合併します。当センターでは検査機器を含め十分な診療体制が整っています。
  • 抗リウマチ薬による有害事象で、緊急の対応が必要となる場合にはご遠慮なくご連絡下さい。
  • リウマチ性疾患で、診断や治療でお困りのことがございましたら当センターにご紹介下さい。

専門医を目指す方へ

  • 当院は日本リウマチ学会認定教育施設です。同学会専門医の資格を有する4名の常勤医がいます。経験豊富な専門医による丁寧な指導体制をとっています。
  • スタッフは常に最新の知見を勉強し議論しながら診療に当たっています。また、学会報告など臨床研究にも力を入れています。
  • リウマチ性疾病は全身臓器の疾患です。特定の臓器に片寄らず常に全身を診る内科医でありたいと思っている方には最適の環境です。

当科の取り組み

  • 関節リウマチの診療
    関節リウマチは治療が遅れると関節の破壊が進行し、日常生活に支障を来すようになります。早期診断には、免疫血清学的検査に加え、関節の超音波やMRIなどの画像診断が有用です。病早期からメトトレキサートを中心とした抗リウマチ薬の治療を行います。なお、手術適応も的確に判断し必要な場合は整形外科と連携して治療に当たります。
  • 生物学的製剤
    関節リウマチで、関節の炎症や破壊に深く関わっているサイトカイン(TNFアルファやインターロイキン-6)などに対する抗体による治療です。欧米では1998年から使用され、大きな有効性が示されています。メトトレキセートが効果不十分の場合や副作用などで使用できないより重症の患者さんには、インフリキシマブ(レミケード)、エタネルセプト(エンブレル)、アダリムマブ(ヒュミラ)、ゴリムマブ(シニボニー)、オゾラリズヌブ(ナノリラ)、トシリズマブ(アクテムラ)、サリルマブ(ケブサラ)、T細胞選択的共刺激調節剤であるアバタセプト(オレンシア)などでの治療を行います。また、症例によってはJAK阻害薬等も併用しています。
  • 全身性エリテマトーデスなどの膠原病の診療
    膠原病は多彩な臨床症状を示します。診断には、臨床症状、血液や尿の検体検査、そして各種画像検査を組み合わせて行います。薬物治療は、副腎皮質ステロイド薬や免疫抑制剤が中心となりますが、当科では国際的にも標準と認められている治療法を選択しています。病態に応じて適量のステロイド治療を行います。重症例ではステロイド・パルス療法、シクロフォスファミド・パルス療法などの治療を致します。難治例に対してはベリルマブ(ベンリスタ)、アニフロルマブ(サフネロー)の効果により副作用が同居となるステロイドの減量・中止をめざしています。
  • シェーグレン症候群
    ドライアイ(乾燥性角結膜炎)やドライマウス(口腔乾燥症)主症状とする病気です。微熱や関節痛、皮膚の発疹がでる患者さんもいらっしゃいます。また、関節リウマチや膠原病に合併する患者さんもいます。支持療法が主体となりますが、生活指導や薬物治療を含め、QOLを考慮した包括的な治療を行います。
    眼科、耳鼻科、歯科口腔外科と連携して診療します。
  • その他
    リウマチ性疾患の診断の過程で問題となる原因不明の発熱、リウマトイド因子陽性などの患者さんも積極的に受け入れ対応しています。